SOREL(ソレル) スノーブーツ
最強寒波が到来し、殆ど雪が降らない私の住む地域でも積雪がありました。それに合わせて…という訳ではないのですが、今の季節にピッタリな修理依頼を頂いたのでご紹介します。
地域柄、雪用の靴を修理することがほぼありませんでしたが、いわし革店を始めてからは豪雪地帯のお客様からご依頼を頂けるようになり、雪用資材を扱うようになりました。初めて扱う資材での修理は新鮮で楽しいです!
修理する靴はSORELのスノーブーツです。革のブーツもカッコいいのですが、雪にはやはりラバーブーツが良いですよね。
ただ雪道にあまり向いていないソールのようで、雪道・路面凍結でも歩けるような仕様に変更します。触ってみた感じ、雪だけでしたら現状でも良いのかなと思いますが、凍結には中々厳しそうです。
SORELのブーツには、インナーブーツと呼ばれる取り外し可能なフェルトのブーツも付いています。
このインナーブーツはSORELのサイトから同じものを購入できるようで、ヘタってきたら交換が出来ます。靴は内部の修理が特に難しいので、交換が出来るというのはとてもありがたいですね。
クリーニング
ソールを交換する前にクリーニングをします。表面の汚れを出来る限り落とし、内部に溜まった汗などを排出し清潔にします。靴のクリーニングは衣服などに比べて少し癖がありますので、ご自宅でするのはあまりオススメしません…(スニーカーなどはやりやすいですが)。
クリーニングのタイミングとしては、ソール交換をする時が一番お勧めです。ソールを外してから洗う為、接着剤の剥がれなどにも対応がしやすいです。クリーニングに関しては、また記事にしようかなと思います!
ハイドロストッパーでのソール交換
乾いたらソールを交換していきます。交換と書いていますが、補強の方が正しい表現です。
元々のソールの波模様は平らになるように削ります。見栄え的な意味もありますが、隙間があるとそこから雪・水分が染み込み、接着が剥がれてしまいます。勿体ない感じもしますが、必要な作業です(デザイン・構造の関係上削れきれない場合もあります)。
削れた後は硬化剤を添加したプライマー・接着剤を塗ります。硬化剤があることで、強力な接着剤が更に強力になり、熱や水分での剥がれが起きにくくなります。
この硬化剤は今回の靴のように剥がれやすい環境下の靴に使う事が多いですが、むやみやたらに使ってしまうと次の修理の時に剥がすのが非常に大変になってしまう為、全ての修理で使う訳ではありません。雪用以外には登山靴、雨用の靴に使うことが多いです。
雪用資材のハイドロストッパーを貼って削ります。
ゴムの中に繊維が練り込まれており、触り心地はザラザラ(紙ヤスリ400番くらいでしょうか…)としています。豪雪地帯の靴修理屋さんでは定番の資材らしく、毎年品切れになってしまうほど人気のソールと聞いたことがあります。雪用資材は高額な物が多く、在庫を沢山抱えることは出来ません…。
ハイドロストッパーはシート状の資材で、色々な靴に対応が可能です。厚みが3mmと7mmがあり、前の方には3mmを、踵には7mmを使っています。前の方に7mmを使うと固すぎて屈曲しなくなり、剥がれやすくなってしまいます。逆に踵に3mmを使うと交換時期があっという間に来てしまいます。
スニーカーに貼りたい場合は3mmの物を全体に貼ることをお勧めします。
ラバーブーツのお手入れ
ラバー部分のお手入れもしました(有料:1000円)。ラバーのお手入れは専用のスプレーを使うのが一番お手軽でお勧めです。画像の物ではなくても、ラバーブーツ用であれば大丈夫です。
10~20cmほど靴を離してスプレーを吹きかけます。全体に吹きかけた後は泡を布でふき取れば完了です。泡はすぐには消えないので、ゆっくりとふき取ってもらえれば大丈夫です。
ふき取った後は光沢が戻り、スベスベとした感触になります。今回のような靴以外にも、レインブーツなどにお使いいただけるので、1本持っておいても良いかもしれませんね。
ライトブラウンのファブリック部分には防水スプレーをかけます。防水スプレーは安いものなら1000円、高いものなら3000円程度となりますが、安いものは噴出される粒子が荒く、革や生地に染みを残すことがありますので、少し高めの防水スプレーを選ばれると良いかなと思います。
いわし革店ではサフィールのナノプロテクターを主に使っています。臭いがかなり強めではあるのですが、防水性能も高く、染みにもなりにくいと感じています。
修理完了
修理が完了しました。お渡し後にご感想を頂きましたが、以前より滑りにくくなっており、雪が本格的な季節でも期待が出来そうとの事でした。これから大活躍しそうですね!
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